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一粒の麦

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2012年 08月 09日

宇宙の上からこんにちは

夏休みも佳境ですが、やや涼しい日が続いて一息ついている方も多いでしょう。(西の方はそうでもないようですが)
私もそのひとり。
火、水と連チャンで出る用事があったら、もぉ疲れて疲れて。
涼しいので助かったよ〜

さて、夏といえば自由研究だったりペルセの流星群があったりで、普段擬態している宇宙(ソラ)好きが夜中にもじもじ蠢く季節ですが、いつもブログを覗いているさとみなちゃんもそうだった!
私は、まぁ好きだけど、どっちかというと気象の方がもっと好き、という程度なんですが、どうもさとみなちゃんはバリバリの筋金入りのケハイがします。

私、目が良くないので、星がよく見えないんですよ!
しかも、目が悪いと、暗いと余計見えなくなるのさ!

星座早見盤、暗くて見えないし。(でも持ってる)
見えるぐらい明るくすると、暗さに目が慣れるまでしばらくかかって、星座忘れるし!

そんな訳で、天文好きではあるけど、マニアまではいかない程度です。

ISS見たかったな・・・


さて、宇宙の話題が出たので、ず〜っと前から書きたかったネタ、行っちゃおう!

探査衛星はやぶさ気象衛星ひまわりと同じぐらい有名になって、映画にもなっちゃって、最後燃え尽きる映像はホント、涙出てきましたが、私はもうひとつの、ひっそりと運用を終了した衛星を紹介したい!
それは、「だいち」です。

陸域観測技術衛星、という難しそうな名前が付いていますが、レーザーの反射波を捉えることによって、地形を観測する衛星です。
2006年に打ち上げられ、設計寿命は3年(つまり、2009年までは多分大丈夫)で、目標寿命は5年でした。
多少のトラブルはあったものの、順調に観測を続け、2009年以降も運用されていました。

宇宙の上からこんにちは_d0209553_16211234.jpgそして、去年の震災。
だいちは、直後から可視光線の写真をいち早く送り、また合成開口レーダーによって地殻変動の様子をマクロな視点から観測しました。
左の写真が、その様子です。
干渉縞によって、地殻変動が表現されています。
これは1日で撮ったものではなく、1ヶ月半ぐらいの間、何度も日本上空を通過してとったデータを組み合わせてあります。
ちょっと見えづらいのですが、茨城県と福島県の県境付近(37°N)水戸市の「市」の上あたりに、他の干渉縞とちょっと違う模様が入っているのがわかりますか?
これは4月11日に起こった、福島県南部を震源とする地震の震源域で、地表にすべり面が露出している正断層型の地震による地殻変動です。
東大地震研究所が、かなり詳しい現地調査をしています。

こんなデータを取り続けてくれただいちですが、4月22日に電圧が落ち、交信不能となって5月12日に運用を終了しました。


宇宙の上からこんにちは_d0209553_17452968.jpgこれは、だいちからの最後の赤外線写真です。
アラスカ湾の上空を通過している所で、その映像が途切れています。

返す返すも残念なのは、22日に止まってしまったこと。
28日まで生きていてくれれば、富士山上空から撮った干渉波のデータが送られてきて、3月15日に富士山の直下で起こったM6.4の地震の変動もはっきりわかったのですが・・・

でも、だいちは目標寿命まで観測を続け、最後に大きな災害の広範なデータを送り、使命を果たして運用を終了しました。
はやぶさほどの派手さはないけれど、本当によくやってくれたと思います。

だいちは運用中、海氷の衛星画像を送り、海上の事故防止にも役立っていました。
運用終了後の10月18日、海上保安庁の観測所から、まだ軌道上を周回しているだいちに向けて、感謝を込めてレーザー光線が発射されました
だいちに付いている反射プリズムはそれを反射し、観測所は反射信号を受信し、光線がだいちに到達したことを確認しました。
多分、一瞬のことなのでしょうし、ものを擬人化するのも良し悪しだと思いますが、例え機械であったとしても、その働きに対して敬意を払うということをせずにはいられない、その海上保安庁の皆さんの心にとっても共感しました。

パンとは全然関係ない話でしたが、1年以上書きたかったことがようやく書けました。
ありがとうございました。







* 写真はJAXAさんから断りなく勝手に引用しています。

by salix-kyo | 2012-08-09 17:49 | サイエンス


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